4/23(火)の夜に、昔の打掛の補修を急いでしていただけませんでしょうか?という問い合わせがありました。
お話しをお聞きしたところ、静岡県で店舗展開されておられる「株式会社ビューティー岡本」さんからのお電話で、ブライダル部門で使う古典着物を、至急お直しして欲しいというご依頼でした。
http://www.beauty-okamoto.com/bridal
内容は、5/4(土)にご着用のため、2(木)には手元に欲しいというご依頼でしたが、よくよく考えると4月下旬は祭日を含めた3連休があります。
5/1(水)には発送しなければならず、作業できる日にちは、実質3日となります。
通常ならお断りしますが、お電話の向こうで説明されるお客様のお声をお聞きしているうちに、何とかできるのであれば・・・という思いから、一度商品をお送りいただき、拝見してから判断という事でお請けいたしました。
金駒刺繍は全体的に外れており、真っ直ぐの筈の金糸が着物の全体的な縮みに付いて行けずに蛇行したような感じになっていました。
また、金箔は生地の柔らかい部分との境目で、生地が自然に破れてくる状態にありました。
本来であれば金糸を全て外して、やり直すべきなのですが、そうするには日にちが全く足りませんので、結局はお客様とご相談して、外れている金糸の修復と弱っている部分をすべて補強することになりました。
裾の吹きは約3分くらいの仕上がりで、裾綿が経年変化で痩せたのか?原因はハッキリと分かりませんが、裾がブカブカとした感じになっていました。
写真の右上の挿入写真は、私が25年前に取引先の心斎橋呉服専門店からのご依頼でさせていただきました打掛の裾吹きです・・・綿の入り具合の違いがお分かりでしょうか?
昔と現在では、吹きの太さが少し違うようです。
裾を裏側から見たところです。
現在の図柄とは違い、昔の方がとてもダイナミックです。
図柄の線(ライン)はとても太く、まるで浮世絵を見ているようです。
お客様に、どれくらいの時代ですか?とお聞きしたところ、ハッキリとは分かりませんが、江戸末期から大正初期の着物とおっしゃっておられました。
私も今のお仕事に携わって、色々な昔の着物にも触れてきましたが、ここまでの年代物の着物を触らせていただいたのは初めてでした。
この着物を仕立てた職人も、この着物をお召しになられた花嫁さんも、もうこの世の方ではありませんが、今回のお仕事に携われたのには、何かのご縁かな?と思いました。
Infomation
ビューティー岡本 沼津店
〒410-0001
静岡県沼津市足高322-100
055-920-2065
定休日:毎週月曜日、第2・3火曜日
http://www.beauty-okamoto.com/