初夏に花をつける植物として、橘(たちばな)があります。
ミカン科の常緑低木で、日本で唯一の野生のミカンです。
葉に加えて、実もデザイン化される珍しい文様で、家紋や文様として用いられ、さまざまな美術工芸品に登場します。
今回のご依頼は、愛らしい橘が舞う、明るい彩りが魅力的な訪問着です。
肌映りも明るいゴールドベージュの生地は、おだやかな彩りで着姿を華やかに演出する、とてもきれいな色目です・・・そこへあしらわれたのは存在感あふれる42個の橘の意匠です。
常緑であることから、永遠の繁栄や長寿の象徴とされ、縁起の良いモチーフとして用いられています。
吉祥文様は他にも数多くありますが、多くが中国に由来するため、橘は数少ない日本生まれの吉祥文様ともいえます。